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新たに始まることが盛り沢山の4月ももう終わり、ゴールデンウィークで一休み、というときになりました。
休みになれど遠出もできず、この長いトンネルのような日々はいつまで続くのでしょう。
今年度からこのコラムに、わたしのお薦め本や映画を紹介していこうと思います。
初めは、岩波文庫、ファーブルの「昆虫記」です。うちの教室もゆすりかで悩まされていますが、学生時代に読んだこの「昆虫記」で、虫達が、その短い一生を懸命に生きている姿に感心するばかりでした。厳しい自然の中で生き抜く力、子孫を残すためのたゆまない努力、これら全てが本能のなせる技だとしても、あまりに偉大で、神秘的であるのです。
本の中に、”本能の高い啓示者である母性愛がそれを教えているのだ。”とあるのですが、ここにある”それ”とは母虫が卵から孵化した子供たちが生き延びていけるよう、産卵する場所を極めて慎重に正確に選ぶのです。私たち人間は子供を手元において慈しむことができますが、虫たちは卵から出ると自力で生きなければならない。だから孵化したあとのために母虫が場所を選ぶのです。
ファーブルの探求心と観察力は誰でも真似できるものではないとしても、好きなもの興味のあるものを見つけて没頭できることは大変幸せではないかと思います。
ファーブルが皇帝から勲章をもらうためパリを訪れたとき(勲章等にはあまり興味がなかったようです)、その場にいた大臣から、パリの博物館や陳列所を見ることを勧められるのですが、彼は、”知っております。けれども野の類いまれなき博物館の方が、ずっと私の気にあっていますし、居心地もよいのです”といってすぐにパリを離れました。本当に自分が求めているものが何かを知っているのですね。
何事も学ぶ上で大事なのは、興味です-好奇心とも言えます。英語を機械的に覚えるのは辛いものです。それもたくさん、そして長く。初めは楽しくともずっと習わないとものにならないのが語学。それを支えてくれるのは何でしょう。教養です。
ただ試験や受験のためだけに頑張る英語より、その言語から異文化の歴史や感性を楽しく学んでもらいたいです。
本は読む習慣がつかないと、すっ-と読めないですよね。強制的に読まされていては、頁をめくることが作業になるだけです。
ご家族で本屋さんに行って、それぞれお気に入りもしくはトライしてみたい本を選んで、みんなで本を読んでみるのはいかがでしょうか。
次回は映画をおすすめいたします。
最後にわたしのお気に入りの言葉で終わります。
“I want to be a bookworm.”
(私は本の虫になりたい。)
カール・マルクス
許