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10年くらい前、我が家にはシンガプーラのKAIだけが残っていました。
その頃のKAIは、目の病気であまりよく見えないおばあちゃん猫になっていたので、静かに毎日を過ごしていました。
そんな時、娘がお習いしていたピアノの先生から保護した生まれたての子猫を貰ってくれないか、とオファーがあり、KAIにも刺激になっていいかな、と思い譲り受けることにしました。
が、それまで3か月は親猫の下で過ごした子猫しか世話をしたことがなかったので、ミルクをあげなければいけないような赤ちゃん猫を育てるのは試行錯誤でした。
性別も分からないくらい小さかったのですが、毛色から『きなこ』と名付け、出かけるときも小さな段ボールに入れて一緒に持ち運び、ミルクをあげたりお世話をしたりしていました。
スクスクと成長し、やがて男の子だと判明。
義母が「真面目に育つんやよ」ときなこに語り掛けていたことから、名前をきなこ・まじめに改名し、息子が毎日手の平の中に入れて持ち歩くくらい可愛がって育てていました。
が、ある日急にきなこ・まじめがしゃっくりをし始めました。
私が無知で悪かったのですが、しゃっくりの原因はミルクの誤嚥でした。
やがてあっという間に具合が悪くなり、静かに息を引き取りました。
我が家にやってきた時と同じくらい小さな小さな姿になってしまったきなこ・まじめの最後に立ち会えなかった息子は、私が牛乳パックで作った小さな棺桶の中に納まっているきなこ・まじめをいつまでも黙って見ていました。その後ろ姿を見て更に涙が止まらなくなったものです。
きなこ・まじめの突然の逝去から立ち直れなかった私たちは、それから暴走を始めることになるのでした。
(第3期へと続く)