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VOICES Hanami
「Rice paddy god 田の神」
昨日、初めてのJEのレッスンでした。そのテキストの中に「VOICES」というテキストがあります。このテキストはさまざまな題材について考え、意見を交換し、自分自身の考えや意見を発表するという過程で「思考力・判断力・表現力」を養成するための教本です。
その最初に書かれているテーマが「花見」です。
私がこの話を読んだとき、「あれ?この中に書かれている事、どこかで読んだわ」
と思いました。
「They thought the rice paddy god lived in the mountains during winter.
In spring, when the cherry blossoms started to bloom, the rice paddy god came down
from the mountains to the villages.」
農民たちは、水田の神様は冬の間は山に住んでいて、桜が咲き始める春になると村に降りてくると思っていました。
という文章です。
これに関した文章が私が数年前に編集のお手伝いをしたご本のなかにありました。
その本というのは「古代からの風」神話・伝承・芸能 著者鈴鹿千代乃 の本です。
この本は、現在神戸女子大学名誉教授で民俗学を研究されている鈴鹿先生が、
日本の神々また地方に伝承されている神話、主人公が女性の神話、記紀万葉のお話、芸能の中に生きている女性の生き様を中心に書かれているとても面白く、専門書としては素人にもとても読みやすく、興味深い本です。
この本を制作することに関われたことは私が、日本の民俗を理解することにとても有意義なものでした。
それが書かれているのは「狐」の項目でした。
「柳田國男は、この狐塚に注目し、それらが、他の中や、田を見下ろす場所にあることから。それが、田の神様を祀った祭壇であろうと考えた。一方、狐は、人間をあまり恐れず、また人間の顔をじっと見ていたりする習性のあること、秋の終わりから冬にかけて、小狐を養うために山から里に降りて来ることなどから、狐と田の神との結びつきを考えている。田の神は山の神でもあり、春に、山から里に下りてきて、秋にまた山へ帰る。秋の終わり、刈り上げの終わった頃、ふと姿を表して、また山へ帰ってゆく狐の姿を、人々は、田の神が山へ帰ってゆかれる姿とみたのだろう。」
というところです。
日本の民俗学は本当に面白いと思いますし、日本人として日本の民俗を知ることは、これから世界に出ていく子供たちのアイデンティティを持つための助けになります。そしてECCの教材にちゃんとした日本の民俗学を中学生の教材に挙げていることが素晴らしいことだと感じました。
花見
春から夏にかけて実際の農事の開始にあたり田の神を祀って神人飲食をともにするのが古習で、天道花などは神を迎えるための依代であったと考えられる。「日本民俗辞典 p579」
田の神
全国にほぼ一致する信仰は山の神が春には里に下って田の神となり、稲田の生育を守って秋には再び山に帰るという伝承である。「民俗学辞典 p358」
「古代からの風」神話・伝承・芸能
第一章 日本の神々
第二章 日本の古代信仰
第三章 神話の中の女性
第四章 記紀万葉論
第五章 芸能伝承論