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2024年6月20日
カテゴリー: 教室だより
2024年6月号「なんで大文字と小文字があるの?」

↑我が家の庭で見つけたはらぺこあおむし^_^

 

 

 

毎朝、犬の散歩をしながらラジオを聴いています。

以前にもご紹介しましたが、「Voicy」という音声プラットフォームの『英語の語源が身につくラジオ(heldio)』という慶應義塾大学の堀田隆一先生の番組です。

堀田先生は英語史がご専門の先生です。

 

 

「英語史」とひとことで言うと、とても難しそうな響きがあるのですが、堀田先生は非常にわかりやすくお話くださいますので、すぐにそのおもしろさにハマります。

そして、英語史は小学生・中学生の皆さんにもぜひ関心を持ってほしい分野なのです。

誰もが英語の単語や文法を学んでいくうえで、必ず「なぜ」「どうして」という疑問が出てくるのではないかと思いますが、英語の歴史を知ることで、その疑問の解決策が見いだされるかもしれないからです。

 

 

私自身も英語の学習者であり、また幼児さんから高校生に英語を指導しているものとして、英語史を通じて自分が学んだことを生徒の皆さんに様々な形で伝えていくことができたらと考えました。

そこで、今月から子どもたちから寄せてもらった疑問について、教室でフィードバックするのと同時に、こちらでも紹介していこうと思います。

 

 

子どもたちが感じた疑問を募ったところ、最初にあがったのが小4の女の子から「なんで大文字と小文字があるの?」という質問でした。

すばらしい質問ですね。英語のアルファベットを学習していると、なんの疑問を抱くことなく「当たり前」とやり過ごしてしまうところに、「なんで?」と感じてくれた感性がすばらしいと思います。

そして私にとっては、最初からシンプルな難題がきました(汗)

 

 

そもそも、アルファベットはいつ頃誕生したのでしょうか。

今から3700年くらい前に、パレスチナやシリア辺りの北部セム諸語の話者によってアルファベットの文字が発明されました。当時は22個の子音字のみでした。

その変種がギリシャに伝わり母音字が加えられ、さらにイタリア半島にいたエトルリア人に伝わって改良され、およそ1000年の時を経て、エトルリア文字がローマに継承され、今から約2700年前にローマ字(the Roman alphabet)ができたと言われています。

このローマ字は英語だけでなく、フランス語やドイツ語など、他の多くの言語でも使われています。そして、ローマ字がキリスト教を伝えるためにイギリスに持ち込まれたのは今から約1600年前です。

 

 

実はアルファベットには最初は大文字しかありませんでした。

しっかりとした字体が石碑などに刻むのに適していたからです。

それからだんだんと、速く書ける実用的な書体として小文字が生まれたのです。大文字は大きくて目立ちますので、文の最初や固有名詞の最初などに使われ、1画ずつていねいに書きますね。それに対し、小文字は速くサラサラと書くのに便利なのが、自分でも書いてみるとよくわかります。日本語で考えてみても、画数の多い見栄えのする漢字と、速く書けるひらがなやカタカナがあるのと同じように思います。

また同じ漢字でも楷書体や行書体、草書体など、さまざまな字体がありますので、場面や用途によって使い分けることができます。

 

 

ここで、「なんで大文字と小文字で形がちがうの?」という次なる疑問が生まれます。

<C, c> <K, k> <O, o> <P, p> <S, s> <U, u> <V, v> <W, w> <X, x> <Z, z>のように大文字と小文字で形が同じものもありますが、<A, a> <B, b> <D, d> <E, e> <F, f> <G, g> <H, h> <I, i> <J, j> <L, l> <M, m> <N, n> <Q, q> <R, r> <T, t> <Y, y>は形が異なりますね。

 

先ほどの漢字で例えたら、行書体や草書体のように、形を崩して書いていくと、元の文字が想像できなくなるくらい変わってしまいませんか。

例えば、楷書体で「あいうえお」は行書体だと「あいうえお」と「え」の形はだいぶ変わります。草書体はもっと崩れます。そう考えると、速く書くために形が違ってくるのも納得できます。

ですから大文字と小文字で形が違うのは当然のことなのかもしれません。

 

今回の質問の答えをまとめると、格式が高く、目立つ存在としての大文字ができた後に、実用的で使いやすく、速く書ける小文字が誕生したと言えそうです。

 

 

教室で生徒の皆さんたちに話したところ、

「ふーん」

「意外とむかしからアルファベットってあるんだね」

というような反応でした。

でも、普段のレッスンで少し眠そうな子も真剣に聞いてくれていたのがなによりでした(笑)

 

 

以下、参考文献です。さらに詳しい情報が満載です。

皆さまもぜひ訪れてみてください。

堀田隆一「Voicy英語の語源が身につくラジオ」

#698 「先生、アルファベットの歴史を教えてください~寺澤志帆さんとの対談」

https://voicy.jp/channel/1950/518287

堀田隆一「hellog ~英語史ブログ」

#423 「アルファベットの歴史」

https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2010-06-24-1.html

#1309 「大文字と小文字」

https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2012-11-26-1.html

#3668

「なぜ大文字と小文字の字形で異なるものがあるのですか」

https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2019-05-13-1.html

#4075

「なぜ大文字と小文字があるのですか」

https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2020-06-23-1.html

#hel活

 

2024年6月7日
カテゴリー: お知らせ
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