2025年1月号「なんでgoの過去形はwentなの?」
↑写真は日本画家の牧野伸英氏の作品です。小中学校の同級生です!
この白蛇さんに紛争や災害のない平和な1年となることを切に願いたいと思います。
新しい年が始まりましたが、中3生はすでに受験に向けて猛勉強しております。幸い(?)今年は高3生がいないため、例年よりは余裕はあるかと思いますが、それでもなんだか落ち着かない毎日です。
今月は小学校中級クラスにて過去形が登場し、規則動詞の後に不規則動詞が出てきました。
そこですかさず、小3男子から「なんでgoの過去形はwentなの?」という質問が出ましたので、これを取り上げたいと思います。
いくら不規則変化とは言え、have-had, make-made, see-sawなどのように少しでも同じ文字が使われていればあまり不思議には思いませんが、go-wentは1文字も一致していませんので、当然このような質問は出てきますよね。私自身も初めて習ったときは、なんでその形?と思いました。笑
語源辞典によると、goには「歩く、行く、旅する」という意味がありました。古英語ではgoはgānと綴られ、その過去形、過去分詞は北部では現在形から造られた gaed-gegānという形をしていました。これだけ見ると、過去形は規則変化、過去分詞はやや不規則な変化のようにも見えます。
しかし、過去形には別語根の単語であるēode, ēodonも用いられていました。それが中英語期に yede, yode に発達し、それが15世紀になると南部から次第にwend「向かう、向ける」という別単語の過去形であるwent に取って代わられるようになりました。
このように語形変化の一部に、別語根の語に入り込んでしまうことを「補充法(suppletion)」と呼びます。英語ではたびたびこのような補充法が適用されており、先日の堀田先生のお話にも登場しましたが、be動詞の活用などもその例です。amやisの過去形、過去分詞がwas-wereと、まったく違う形をしているのも、別の語源の単語がすっぽりそこに入り込んでしまったためということです。
小学生にはここまで詳しい説明はしませんでしたが、「違う単語の過去形とくっついちゃったんだよ」という話をしたところ、ほとんどの子が「...」という感じで、感想はほとんどなし…でした。反論できなかったのかな。
もっと上手く説明できたらよかったのに…と、後になって考えてみました。
日本語で「行く」の過去形が「行った」でなく「行きはった」「上がった」のような関西弁が標準語の過去形になったと考えたら、わかりやすかったかも。
さて、今週末は英検®があります。
さらには英検®Jr. やECCのインタビューテストなど、試験が続きます。
まずは受験生の皆さん、体調を崩さずに最後まで突っ走ってください。
みんな頑張ろう!