2026.6.9 #70 “very”
本日の特筆すべきは私の心にしまっておき、語源話が長いため、そちらに集中します。笑
「小学生と学ぶ英語の語源」第70回は “very”「とても、非常に」「まさにその」です。
『英語語源辞典』ではわずか10数行足らずの記述であるのに対し、『英語語源ハンドブック』では1ページの説明を要しているのが気になります。これはまさに、なにかあるに違いない!!(おまけにこの大雑把なイラスト笑)
今から700年くらい前の中英語期に古フランス語 ver(r)ai から入ってきました。この語はラテン語 vērus(本当の)からきており、印欧祖語 *wēro-(本当の)に基づいていると考えられています。
1300年ころから1600年ころまでは、形容詞として「本当の、まことの」の意味で使われていましたが、副詞として「とても、非常に」の意味で使われるようになったのは15世紀以降です。
この原因となったのは、聞き手、読み手による「勘違い」で、「異分析」というものによると考えられます。
異分析とは「語句の本来の切れ目や解釈が忘れられたり、間違われたりしたために、新たな解釈や語が生まれることを言います。
例えば、 apron(エプロン)はもともと napron という語でしたが、a がついて a napron となるところが、an apron と解釈されて今の形になりました。また nickname(あだ名、ニックネーム)はもともと ekename という語でしたが、an ekename となるところを a nekename と解釈されて今の形になったのです。」(『英語語源ハンドブック』より)
よって、very の場合はthat is a verrai gentil man(あれこそ本当の紳士)という文章において、very (verrai) は gentle (gentil) と並んで man を修飾する形容詞だったのが、gentle (gentil) を強調する副詞と解釈され、それを多くの人が使うようになったことによって、副詞としての働きが普通になっていったということなのです。誰かの間違いが本当になっていくとは、言葉っておもしろいですね。
また、very(とても)というように意味を強める語は、他にも really, extremely, terribly, awfully, absolutely, incredibly, super などなど、たくさんあります。その中でも very はいちばん一般的に使われている語です。ただ日本語でも「かなり、めっちゃ、超、ウルトラ、スーパー」など、意味を強める語はたくさんありますが、時と状況を考えたり、言葉の流行もあったりしますので、使い方や使いすぎには気をつけなければなりませんね。使いすぎると意味が強まるのではなく、逆に意味が弱まったり、心がこもらなくなってしまうこともありますよ。
