2026.8.26 #148 “give / gift”
本日の幼児クラスにて。これまで劇の役ぎめは、例え全員が同じ役を選んだとしても、基本的にやりたい子にやらせてきました。
ところが、最近少し気になっていたのが、その役をやりたい子の言葉がキツく、必ず誰かが泣くハメになること。…そんなわけで、今日から「強制ローテーション」に変更してみました。
結果、泣く子は現れず、みんなで仲良く手を繋いで帰って行きました。
一件落着。めでたしめでたし。
『英語語源ハンドブック』の見出し語に基づいて英単語の語源を学ぶシリーズ、第148回は “give / gift” 「与える、贈り物、才能」です。
give は古英語期から見られる英語本来語です。
古英語では ġi(e)fan、中英語では yive(n), yeve(n) と、最初の音は /j/ でしたが、古ノルド語 gefa の影響で /g/ の音となったと考えられています。
また ġiefan の f の発音は、前後の母音が有声音のため、 /f/ も /v/ と有声音になりました。そこで中英語期にはyive(n), yeve(n) に加え、give(n), geve(n) の綴りが見られています。
印欧祖語の *ghebh- / ghabh- (与える、受け取る)に基づいています。これに基づく語は give の他に英語本来語では forgive (許す)があります。フランス語・ラテン語由来では、ラテン語の habere (持つ、つかむ)に関連するable (できる)、debt (借金)、due (支払われるべき)、duty (義務)、endeavor (努力する)、exhibit (展示する)、habit (習慣)、habitat (生息地)、inhabit (居住する)、inhibit (抑制する)、prohibit (禁じる) など、同じに見えませんが、たくさんあります!
一方、gift は今から800年くらい前の13世紀に古ノルド語 giþt, gift「贈り物、天賦の才」から入ってきました。give とは別々なのが不思議ですね。
古英語にも ġift の語はありましたが、「結婚のときに新郎が新婦に渡す贈り物」または複数形で「結婚式」など、ゲルマン民族の風習を表わす特殊な意味で使われていたのです。ですから現在の意味の gift は古ノルド語に由来していると考えられます。
gift は「授けられた能力、天賦の才、生まれつきの才能」の意味も中英語期から使われていました。16世紀には「人に贈り物をする」「能力などを授ける」という動詞としても使われるようになりました。
17世紀頃から過去分詞が形容詞となった gifted 「天賦の才を持つ」もできました。
ちなみに「生まれつきの才能」の意味で talent もあります。こちらは古英語期にラテン語 talentum から入っています。当時は「タラント」という古代ギリシア、ローマなどの重さや通貨の単位でした。それが「才能」の意味で使われるようになったのは15世紀になってから。新約聖書『マタイによる福音書』の「タラントのたとえ話」の比喩からです。
<25:14> また天国は、ある人が旅に出るとき、その僕(しもべ)どもを呼んで、自分の財産を預けるようなものである。
<25:15> すなわち、それぞれの能力に応じて、ある者には五タラント、ある者には二タラント、ある者には一タラントを与えて、旅に出た。
<25:16> 五タラントを渡された者は、すぐに行って、それで商売をして、ほかに五タラントをもうけた。
<25:17> 二タラントの者も同様にして、ほかに二タラントをもうけた。
<25:18> しかし、一タラントを渡された者は、行って地を掘り、主人の金を隠しておいた。
新約聖書『マタイによる福音書』(25:14-18)口語訳 Wikipedia
旅から戻った主人は、お金を増やした最初の2人を「よくやった」と褒め、土に埋めて何もしなかった最後の1人を「怠け者」と怒ったそうです。
ここから「神から預かったタラント(お金)」=「神からひとそれぞれに与えられた能力や才能」という比喩として使われるようになったそうです。
テレビに出る「タレント」も「特別な才能のある人」の意味です。
語源の勉強、おもしろいですね!
