今日からシルバーウィークに突入ですが、本日は通常レッスンです。
『英語語源ハンドブック』の見出し語に基づいて英単語の語源を学ぶシリーズ、第172回は “have” 「持っている、手に入れる、(人に)…させる」です。
古英語期から見られる英語本来語です。
古英語では habban の綴りで「持つ、手に入れる、(…の状態に)おく、(人に)…させる」の意味でした。
印欧祖語の *kap-(つかむ)に基づいています。/k/ → /x/, /p/ → /f/ の音の変化は「グリムの法則」に当てはまります。さらに最終的には /x/→ /h/, /f/ → /v/ へと変化しました。
一般動詞としての have には「持つ、手に入れる、(…の状態に)おく、(人に)…させる」の意味が古英語期からありました。現在は have – had – had の不規則変化の動詞ですが、過去形・過去分詞語尾の -d は規則変化動詞の語尾であったため、今から300年くらい前の初期近代英語期までは have – haved – haved のような規則変化でした。これと並行して中英語期に /v/ の音が落ちた形も発達し、やがてこちらの不規則変化が正式な活用形となりました。make も同じ発達をしています。
一方、完了形を作る助動詞としての have も古英語期に発達しています。
I have some money saved.
(貯められた状態のお金をいくらか持っている)
I have the book in a written condition.
(書かれた状態の本を持っている)
の形であったものが、完了を表わす助動詞として発達しました。(このように意味を持つ語が、意味を持たない助動詞のように使われるようになることを「文法化」と言います)
また、have to 「…しなければならない」は16世紀末から見られます。
I have something to do. (することがある)
が I have to do something. の語順でも使われるようになり、have to が「しなければならない」と解釈されるようになったようです。これも「文法化」ですね。
印欧祖語の *kap-(つかむ)に基づく語は他にも本来語で behave(振る舞う)、heave(持ち上げる)、heavy(重い)、hawk(鷹)などがあります。
古ノルド語由来では haven(港)、ラテン語由来では captive(捕らえられた)、catch(捕まえる)、chase(追いかける)、cop(警官)、cable(ケーブル)、capacity(収容力、能力)、capable(力量のある)、accept(受け入れる)、receive(受け取る)、recover(取り戻す)、occupy(占める)、participate(参加する)、except(…を除いて)、deceive(だます)
…などなど。たくさんありすぎです(^^;)
さすが have 仲間です。
『英語語源ハンドブック』の見出し語に基づいて英単語の語源を学ぶシリーズ、第171回は “glad” 「嬉しい」です。
古英語期から見られる英語本来語です。
古英語の綴りは glæd と、今の発音記号と同じですね。もとは「輝かしい」の意味でしたが、これが心や気持ちを表わすようになり、「心が輝く、明るい→ 嬉しい、喜ばしい」の意味へと変わりました。
印欧祖語の *ghel- (輝く)に基づいています。/gh/ → /g/ の音の変化は「グリムの法則」に当てはまります。
この語根に基づく他の語に、以前登場した yellow(黄色)があります。g /g/ → ġ /j/ → y /j/ と、音の変化に伴って綴りも y に変わっていますね。
他にも英語本来語で glass(ガラス、コップ)、glisten(ピカピカ光る)、gleam(かすかな輝き)、glaze(ガラスで覆う)、glow(明かり、白熱)、glee(歓喜)、古ノルド語由来の glitter(ピカピカ光る)、スカンジナビア語由来?の gloss(光沢、つや)など、たくさんあります。いずれの語も「ピカピカ輝いている」イメージです。
同じ「嬉しい」を表わす語でも happyは古ノルド語由来で「偶然、幸運」といった偶発的な幸運からの喜びを、glad は英語本来語で「心が輝く」ような内面からの幸福を表しているのがわかりますね。
今日は中2の子が宿題ができていないために教室に来るのが嫌だ…と泣いていた。
泣かなくたっていいのに。そんなときもあるわさ。宿題できていなくても、授業に来なかったら更にわからなくなっちゃうから、とりあえずおいでよ。真面目だね〜。そこがいいところだよ。少し休んで、また頑張ってやってごらん。
『英語語源ハンドブック』の見出し語に基づいて英単語の語源を学ぶシリーズ、第170回は “fan” 「うちわ、扇風機」です。
古英語期にラテン語の vannus (穀物を吹き分けるもの)より入ってきました。古英語では fann の綴りで、もとは「箕(み)」の意味でした。風を送る、扇ぐものとしての「うちわ、扇」の意味が出てきたのは16世紀半ばで、「扇風機」の意味は19世紀に入ってからです。
印欧祖語の *wet- (吹く、吹き込む、呼び起こす)に基づいています。wind, weather, window, wing などのもととなる *wē-(吹く)にも関連があるようです。
この語に基づく他の語には、英語本来語ではWednesday に表されているゲルマン神話の最高神 Woden の名があります。Woden は大気の神、呪術の神であることから(吹く)に由来し、さらに wood(狂った)という古語もあることから「何かに取り憑かれた」も意味します。(→ Wednesday で後述)
また、ギリシア語由来では atmosphere(大気、雰囲気)の atom(o)- (空気)の部分がそうです。
ところで、I’m a big fan of Doan. (私は堂安の大ファンです)の fan は fanatic (熱狂者)の短縮形ですので「うちわ、扇」の fan とは別語です!(上のイラストでは共存していますが…)
fanatic は16世紀にフランス語 fanatique(熱狂した)から入った語で、19世紀より短縮形の fan(ファン、熱心な愛好家)が使われています。